ハタハタが 資源管理のモデルケースという誤解


ハタハタ

 回復しない秋田のハタハタ漁 (このままでは回復することもない)

12月に入り秋田のハタハタ漁がようやく始まり、ニュースになっています。しかしながら漁獲量は少なく、価格が高騰しています。12/4の秋田県 八森港での初水揚げの最高価格は、メスでキロ4千円と、クロマグロのような価格になってきています。水揚げ量は僅か200キロでした。

供給量が極端に少ないので、価格が高騰します。漁業者側からすれば単価が高くても水揚げ量が少ないので、肝心の水揚げ金額が増えません。一方で、消費者側からすれば高くて買えないとなり、双方にとって辛い環境になってしまうのです。

秋田のハタハタというと「資源管理のモデルケース」と思っている方々がいます。これは極度の不漁に対応して、1992年から3年間自主的な全面禁漁を実施したことを指しています。禁漁後、2004年には漁獲量が3,300㌧まで回復しましたが、良くなるどころかその後減り続けて、昨年(2020年)の漁獲量はその約10分の1の400㌧弱でした。

もともと1960〜1970年代には年間で1〜2万㌧漁獲されていたので、とても回復したとはいえない状況でしたが、禁漁前よりは漁獲量が増えた程度だったのです。そして何よりも問題なのは、漁獲量が再び激減してしまい、一向に回復出来ていないことにあります。

今の管理方法で本格的に回復する可能性はないのですが、その理由は後述します。「今年こそは!」などと期待しても、肝心の水産資源管理が機能していないので、残念ながら無理なのです。

ハタハタの漁獲量と資源推移

水産研究教育機構

上のグラフをご覧ください。ハタハタ(日本海北部系群)の漁獲量推移を表しています。赤が秋田県の漁獲量推移です。このグラフを見て「資源管理のモデルケース」と言う推移だと言えるのでしょうか?

減少したのは、魚が減るとレギュラーのように登場する中国漁船のせいでもありません。また、近年問題になっている海水温上昇のずっと前の、30年以上前から減少していることが分かります。従って海水温の上昇が理由でもありません。

資源が潤沢であれば良いのですが、産卵期に減り続けるハタハタを獲り過ぎているのが現実です。おまけに小さな一年魚も容赦なく獲っています。成長乱獲と加入乱獲の挟み撃ちですので、資源が崩壊していくのは自明です。

機能していない水産資源管理の問題

ハタハタの卵のかたまり (秋田県)

ハタハタの漁獲量が激減したままであり、回復どころか悪化の一途である理由は、水産資源管理、特に漁獲枠の設定と、その運用の双方にあります。

①漁獲枠が実際の漁獲量より大きいケースが多い。(例)2020年度は枠650㌧に対し約6割の漁獲量。②漁獲量が漁獲枠をオーバーしてもそのまま獲り続けている。(例:2019年度は枠650㌧に対して2割も漁獲量が超過。①②の2点から、これでは漁獲枠も水産資源管理も機能していません。

そして今年(2021年)は、その漁獲枠の設定を止め、漁獲日数を新設するというやり方になりました。本来は、北欧などでの成功例を鑑み、科学的根拠に基づき、従来の漁獲枠を設定し、それを個別の漁船や漁業者に割り振って厳格に管理すべきなのですが、その逆を行くことになりました。

これは漁期を設定して漁業者に漁獲量を委ねるインプットコントロールというやり方です。因みに漁獲枠で管理する上記の方法はアウトプットコントロールと呼び、北欧、北米、オセアニアではこのやり方が主流で、資源をサステナブルにする成功を収めています。世界で魚をインプットコントロールのみで管理して、資源がサステナブルな例は知りません。

ハタハタは輸入で代替できない魚

ハタハタの分布図 上 日本海北部系群 下 日本海西部系群 水産研究教育機構 

日本ではサバアジスケトウダラシシャモ を始め、主に獲り過ぎで自国の魚が減ると、今度は世界中を開拓して輸入で補って来ました。北海道産もありますが、上の図はハタハタの主な分布図です。朝鮮半島の近辺にも分布はしているものの、ハタハタの主な分布は日本の海なのです。

ノルウェーなどサバなどを輸入している大西洋や、アラスカ(米国)やロシアなどスケトウダラ を輸入している北部太平洋ではハタハタは見当たりません。

従って日本がハタハタの水産資源管理を科学的根拠に基づき厳格に行えば、国内はもとより海外にも市場ができるのですが、資源が減り過ぎて国内需要もままならない状態であるのは、とても残念と言わざるを得ません。

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