サンマ 報道されていることが事実か検証してみた

サンマが来遊して来ないのはマイワシやサバが増えたから?を検証してみた。

8月のお盆になってもまだ店頭にサンマの鮮魚は並んでいません。7月に漁期に入ったものの、これまでは水揚げがゼロだからです。上の写真は細々と並ぶ台湾と昨年の国産の解凍物。しかし多くはありません。他国も含めサンマの漁獲量が激減しているからです。

日本では、魚が減るとその原因が乱獲から他の要因に責任転嫁されてしまうケースが後を絶ちません。このため「間違った前提に対する正しい答え」が求められ、改善どころか悪化だけが進んでしまいます。

マスコミも情報不足および注目を集めるためか、変わった珍説が出ると検証もせず報道してしまいます。そして日本では水産資源に関してどんどん誤った情報が拡散されているのです。

瀬戸内海のイカナゴが激減に対した理由が「水が綺麗になりすぎたため」と報道されているのには驚かされました。それなら水が今よりももっと綺麗だった江戸や室町時代にはイカナゴはもっと少なかったのでしょうかw?

そこで今回は、サンマの来遊を阻害しているのはマイワシやサバ類という説が本当か検証してみます。サンマ、マイワシ、サバ、イカナゴも驚いていることでしょう。

それぞれの説を全否定するわけではありませんが、客観的な事象や数字から分析すると明確な矛盾が出てくるので、本質的な問題ではないことが浮き出てきます。

サンマの来遊を阻害するマイワシ、サバ類は依然として多く19年より増加しているという。』❓❓❓

2021年8月。サンマの漁獲シーズンになりました。今年の予想は、過去最低の昨年よりは多いが、2019年より少ないというものです。2019年の4.6万㌧は2020年の3万㌧より多いという数字ですが、そもそも2019年の数字自体がほんの10年前まで20~30万㌧(2001年~2010年の平均26万㌧)漁獲されていた数量より極めて少ない数字なのです。

サンマとマイワシの関係

                     農水省のデータから作成

上のグラフをご覧ください。まずサンマとマイワシ(以下太平洋が対象)の関係です。マイワシ、マサバと日本海でも漁獲されているので、共に太平洋側で漁獲された数量を基に分析していきます。

マイワシの漁獲量が増えて来ていますが、1980年代のマイワシの平均漁獲量は250万㌧、同サンマは22万㌧でした。2019年(2020年は未発表)のマイワシ52万㌧、2020年のサンマは3万㌧と、1980年代の方が約5倍もマイワシが漁獲されていましたが、サンマも約7倍漁獲されていました。これでマイワシのせいでサンマの来遊を阻害していると言えるのでしょうか?

サンマとサバ類の関係

次のグラフをご覧下さい。サンマとマサバ(太平洋)の漁獲量の関係です。1980年代のマサバの平均漁獲量は38万㌧、同サンマは22万㌧でした。2019年(2020年は未発表)のマサバは27万㌧、2020年のサンマは3万㌧でした。1980年代の方が約5倍もマイワシが漁獲されていましたが、サバは増えたどころか3割減となっています、、、。これでサバのせいでサンマの来遊を阻害していると言えるのでしょうか?(注)サバ類とはマサバとゴマサバのこと。数量はマサバが圧倒しているのでゴマサバは割愛しています。

サンマとマイワシとマサバの相関関係 

最後にサンマ・マサバ・マイワシの3つを合わせた漁獲量推移のグラフをご覧ください。2つのグラフの説明と、上のグラフを照らし合わせて考えた場合、果たしてサンマが来遊してこないのはマイワシやマサバが阻害しているから?と言えるでしょうか?そこまでマイワシもマサバも全然多くありません。

こうやって、実際の数字で分析されているのは見たことがありません。しかし、こうやって客観的にみるとサンマの来遊とマイワシやサバ類の増加が原因であるとは言えないことがわかります。

サンマの資源量推移 NPFC

上のグラフは、サンマの資源量推移です。激減していることが分かります。サンマが来遊してこない最大の理由は資源量が減少しているからです。海水温が低い公海でも資源量も漁獲量も激減しているのです。だから来遊も減ります。なぜ本当のことを言わないのでしょうか?

検証結果は、データ分析からサンマの来遊の減少とマイワシやサバの増加には相関関係は見られないということです。

サンマが減少している主因は、魚種交代でも何でもなく獲りすぎなのです。魚種交代というのは、それぞれの魚種の水産資源管理が出来ていてはじめて語れる内容です。

なお、このWEBサイトは、マスコミや研究者の方々も含めて「魚が消えていく本当の理由」について気付いていただき、水産資源の回復とその持続性に役立ていただくことを意図しています。

より詳しく知りたい方は、下記サイトを参照してください。

魚と経済 消費者に高く漁業者に安い魚

同じマイワシでもこれだけ違う

写真は共にマイワシで、上は5月に水揚げされた小さなイワシ(小羽もしくは中羽)、下は10月に水揚げされた脂がのったマイワシ(大羽)です。同じマイワシでも見た目で大きく違うだけでなく、美味しさも価値も全然違います。

魚は価格が高いというのが魚離れの理由の一つに上げられています。なぜ高くなっているのか?その構造を知っている消費者はほぼいないことでしょう。そしてその解決策は何か?

上のグラフをご覧ください。左が5月、右が11月に水揚げされたマイワシの脂肪分です。春には5%前後しかなかった脂肪分が、秋の終わりになると20~25%前後、もしくはそれ以上に脂がのって来ていることがわかります。

大きく脂がのったマイワシは、魚粉にして魚油を取りだす際の歩留まりが違いますし、大きく成長したマイワシほど、産む卵の量も多くなります。右のグラフをよく見ると大きいサイズ程、脂ののりもよいことがわかります。

大きくて脂がのったマイワシを獲った方が、経済的に漁業者だけでなく、加工する業者や、消費者にとっても得で有ることを、これから説明します。

マイワシの水揚げ大漁

銚子港でのマイワシの水揚げ

2021年7月現在、マイワシの大漁水揚げが太平洋沿岸で見られています。釧路から銚子にかけてこれから秋、そして冬にかけて資源量からして、水揚げ量がまとまることでしょう。2021年の資源量は約360万㌧、2020年は410万㌧でしたが十分な資源量です。釧路は例年10月末で終了です。しかし、その後も銚子を主体に水揚げ量が増加して行くことが予想されます。

ところが一日千㌧以上の水揚げ量があっても、店頭での販売が極端に安くなるわけではありません。なぜでしょうか?

消費者に高く漁業者に安い魚

マイワシの水揚げ サバも混じっている

店頭に並んでいる魚について、一般的に経済面で知られていないことがあります。それは、マイワシだけでなく、サバなど多くの魚種で、価値が低い小さな魚の中から、価値が高い大きな魚が選別されて店に並べられているということです。

その裏で、食用向け以外の魚の存在があります。マイワシは2019年に6割も丸のまま魚粉や養殖のエサ(非食用)に回されています。サバで4割です。ちなみにノルウェーではサバの水揚げはベイト用に極少量を非食用に向ける分がありますが、毎年ほぼ100%が食用に向けられています。サバを4割も非食用に!というのは、北欧の関係者にとっては非常にもったいない驚きの数字なのです。

非食用のやせたマイワシ

非食用の魚は、食用に比べて極端に安くなります。例えば水揚げ現場の写真(2021年6月16日)では、1,829㌧のマイワシが水揚げされ浜値は㌔103円~36円。その翌日は3,399㌧で同㌔67円~31円でした。

この安い方の30円前後の価格が、非食用向けの相場であり、その日の水揚げの大半を占めることが少なくありません。やや大きな魚が混じるロットには多少高値が付きますが、それでも同じ漁場で、全体的に漁獲サイズが小さい時は、特定の漁獲分だけ大きい魚ばかりというケースは稀です。

取扱業者は少しでも大き目の魚が混じるロットに、高めの価格で入札します。次にその中から大きな魚を選別して、付加価値を付けて高く販売します。残りの小さな魚(非食用などで安い)の分のロスを、大きな魚の分で取り戻すという手段が取られています。

次に銚子での6/16の水揚げで商売の仕組みを説明します。103円で入札したロットは、大きな魚をできるだけ高く売り、選別した小さなイワシ(㌔30円程度の価値)で販売するロスを補って販売しなければなりません。食用に向くのが4割であれば、残りの6割のロス分を、4割の魚に利益を上乗せしなければ商売にならないのです。

もし、サイズが大きくて脂がのったマイワシばかりであれば、例え㌔103円以上で入札しても、ロスする分がないので利益が出ます。一方で、漁業者側にすれば、入札価格が高くなるので儲かります。

つまり魚が大きければ、漁業者にとっては高く、加工業者や消費者に取っては安い水揚げとなるのです。なお、脂がのっていない時期では大きくても価値が高くないので、この限りではありません。

過剰漁獲が起こり資源も水産業も衰退するパターン

現在の日本で起きているのは、魚を見つければ、旬の有無やサイズの大小に関わらず漁獲しているケースが大半と言わざるを得ません。

このため、成長乱獲を起こしてしまうことで、資源が減少し、海には価値が低い魚ばかりになっています。日本は大西洋に比べて年齢が低いサバやクロマグロが多いのは、偶然ではなく、人災によるものなのです。それほど漁業の影響は大きいのです。

魚の価値が低いため、これを数量で補おうとするので、さらに乱獲が進んでしまいます。そして価値の低い魚の中から、少しでも大きい魚を選別して販売することで、その魚は高くなってしまいます。一方で全体の水揚げは価値が低い魚ばかりですので「漁業者に取って安く、消費者に取って高い」という「最悪の組み合わせ」となってしまうのです。

ノルウェーサバの水揚げと比較するとよくわかること

2020年に水揚げされたサバの魚価は、日本が㌔110円(38万㌧)に対してノルウェーは㌔170円(21万㌧)でした。一方でノルウェーからの輸入価格は㌔220円と、日本の魚価の倍でした。日本は、自国のサバを120円で輸出していますが、ノルウェーの利幅が㌔50円であるのに対して僅か㌔10円しかありません。なお、安いサバを買って輸出しているケースはありますが、ここではトータルの数量と金額で解説しています。

実は日本のサバで輸出に回る数量の大半は、アフリカや東南アジアといった市場価格が安いマーケット向けです。それらの大部分は、日本での食用に向かないサバなのです。輸入する国々は「価格が安い」から輸入しているだけというのが実態で、そこにはメイドイン・ジャパンで高品質といったブランドめいた要素はありません。大量に販売できるだけで、付加価値も利幅もほとんどないのです。

利幅がない分は、選別された少しでも大きくて品質が良いサバに利益を乗せて行くことになります。こうして、消費者にとって高いサバが供給されてしまうことになります。

ノルウェーの場合は、全部食用ですので損をして販売する分がありません。このため、輸出価格は付加価値が十分のっているため利益が出ています。漁船も、冷凍工場も毎年のように設備投資が進み近代化され続けています。そしてそのサバの最大の顧客は日本なのです。

マイワシは7年前後、サバは短くても10年は生きる魚です。それを幼魚・未成魚から狙いを定めてしまえば、大きく成長する機会も、たくさん卵を産む機会も奪ってしまいます。

天然の魚を成長させて、大きくなった魚を、価値が高い脂がのった時期にのみ漁獲する。そのための制度をしっかりさせることが重要なのです。

それは、漁業者や漁船に枠を分配して水揚げを管理してもらう制度。つまり価値が低い魚や旬ではない時期の魚を、漁業者に自ら避けさせる多くの国で効果が出ている個別割当制度(IQ,ITQ,IVQ等)のことです。

2020年に施行された改正漁業法には個別割当制度の内、枠の譲渡ができないIQ制度(Individual Quota System)が含まれています。

減り続ける魚! 水揚げ量の減少は、遠洋漁業とマイワシが減ったから?を検証してみた

マイワシ

漁獲量が減り続ける本当の理由は何か?

2020年の水揚げ量は418万㌧と記録が残る1950年代以降で過去最低となり、毎年その数字が悪化しています。「漁獲量が減少している理由」をネットで検索すると農水省のHPが出てきます。それはピークの1984年から1995年頃にかけての説明です。

理由を要約すると①遠洋漁業の衰退②マイワシの漁獲量減少③環境の変化の3点となっています。

2017年に来日したEUの欧州議会水産員会との意見交換会がありました。その時、漁獲量の激減は乱獲ではないのか?という問いがありました。それに対し、水揚げ量の減少は乱獲ではなくマイワシの減少と200海里の規制で遠洋漁業から締め出されたことによるとしていました。実際はどうなのでしょうか?なお③についての矛盾点は、海水温の上昇について別の記事で詳述しています。

まずは全体の水揚げ量(漁業と養殖の合計)を見てみよう

水産白書

上のグラフは漁業・養殖業の生産量推移を表したものです。全体として右肩下がりで減少が続いているのが分かります。さらに黒い折れ線グラフで、マイワシの漁獲量推移が示されています。そしてこれが全体の減少傾向に似ていることが分かります。

しかしながら、漁獲量が減少している原因とされている①遠洋漁業の衰退は、200海里漁業専管水域が設定された1977年以降に影響が出ています。青色部分の推移をよく見ると既に1990年代以降は尻すぼみのままで推移しています。特に2000年以降の過去20年前後からは、全体の減少に与える影響はさほどでもないことが分かります。

マイワシは減っているどころか増えているという矛盾

農水省データを編集

次に上のグラフは、マイワシの漁獲量の推移を表しています。減少要因どころか逆に増えていますね。それどころか、2011年以降はサケスルメイカサンマ、ホッケなど他の魚種が次々に大幅に減少している中で、マイワシは全体の減少を支える数少ない魚種となっているのです。

マイワシの漁獲量を差し引いた全体像でさらに傾向が分かる

農水省データを編集

次に上のグラフをご覧ください。これは、全体の水揚げ量から『マイワシの漁獲量を除いた』グラフです。マイワシの減少に関わらず、全体の数量が減っていることが分かります。

マイワシと遠洋漁業の合計推移グラフを作ってみた

農水省データを編集

さらに魚の漁獲量が減った要因とされている、遠洋漁業とマイワシの漁獲量合計を足してみました。2000年以降の推移を見ると、減少要因といわれる2つの合計は、減少ではなく増加傾向であることが分かります。遠洋漁業は減ったままなので、増加はマイワシの分です。この2つが全体の減少要因でないことは、これでハッキリとお分かりになると思います。

何が言えるのか?

マイワシの水揚げ

サンマイカナゴサケマダラスルメイカなど、このサイトでは様々な魚種が次々に激減している理由と、その対策について発信を続けています。もうお分かりの通り『遠洋漁業とマイワシの漁獲量が減少しているために、日本の水揚げ量が減っているのではない』というのが結論です。

魚が消えて行き、その影響が全国で社会問題になっています。その対策で前提が誤り『誤った前提に対する正しい答え』をこのまま意思決定に関わる人たちが求めてしまったらどうなってしまうのか?

また海水温の上昇にしても、それが日本の海の周りだけに起こっていることなのか?世界の他の海ではどうなっていて、魚の資源量は日本と同じように減っているのか?

当サイトで世界の海とその資源状態を比較されたものを見れば、不都合な事実は隠せないことが分かると思います。必要なのは『魚が消えていく本当の理由』に国民に気づいてもらい、国際的に見て遜色がない水産資源管理を実行して行くことではないでしょうか?

過去最低の水揚量と海水温上昇を比較すると驚くかも知れません

小さな魚を避けて漁獲するという制度がないので、幼魚まで乱獲し成長乱獲を起こしてしまう

2020年の年間水揚量は過去最低を更新

FAOと農水省データより作成

農水省から2020年度の年間水揚量が発表されました。418万㌧と過去最低を更新しています。増加しているのは、これまで水揚げ量減少の原因とされてきたマイワシ資源管理の優等生であるホタテガイ位で、あとは、サンマを始め、軒並みと言って良いほど減少もしくは低位横ばいが鮮明となっています。

一方で、世界全体の水揚げ数量は増加傾向にあります。上のグラフは、世界全体と日本の水揚げ量を比較したものですが、両者の傾向が対照的であることが明確に分かります。

水産物の水揚げが減少した理由としてよく上がるのが、海水温の上昇によるというものです。確かに海水温の上昇は、エサになる動物性プランクトンの減少など資源状態に影響を与えます。これは農作物の出来高が、天候に左右されるのに似ています。環境要因が自然に与える影響は否定できません。

日本の海の周りだけ海水温が上昇しているのだろうか?

気象庁

海水温がゆっくり上昇していることは事実です。ところで上のグラフは、左が日本やアラスカ(米国)を含む北太平洋。右がノルウェーやEUを含む北大西洋の海水温の変化を表しています。

実は海水温の上昇は魚が減って大きな社会問題となりつつある日本も、魚の資源管理が成功し、水産業も漁業も発展を続けるノルウェーやアラスカ(米国)でも、傾向は同じなのです。

世界全体の海水温の傾向は?

気象庁

上の図は、南太平洋、南大西洋そしてインド洋も含めた海水温の傾向です。世界の海で比較すると、日本を含む北太平洋の海水温の上昇は、大差はないものの、ノルウェーを含む北大西洋や、南大西洋、そしてインド洋よりも、比較した場合上昇傾向は鈍いことがわかります。

日本が魚が減った理由に上げる海水温の上昇は、日本の周りの海だけに当てはまる特殊な現象ではないのです。

それなのに、なぜ日本の周りの魚は減ってしまうという特殊なことが起きているのでしょうか?同じく魚が減る原因として出てくるレジームシフトも、世界の海で日本の周りにだけ起きる現象ではありません。

さらに詳しく海水温の上昇と水産資源の関係を比較してみる

上の表は、北太平洋を日本と米国(アラスカ)側とに分けたもので、筆者が客観的な事実をもとにコメントしたものです。

サバでは、日本はジャミ・ローソクと呼ばれる幼魚まで全部獲ってしまうため、同じく海水温の上昇の影響を受けている大西洋に比べ資源の状態はよくありません。ノルウェーなど北大西洋では、漁業者や漁船ごとに漁獲枠が割り振られているので、価値が低い幼魚は漁獲しません。

東日本大震災で一時的に漁獲圧力が減った名残で、太平洋側だけは現時点では何とか資源が持っているという状態です。

マダラでは、よりはっきり傾向がわかります。同じく東日本大震災の影響で資源は一時的回復しましたが、すでにTAC(漁獲可能量)もなく、幼魚も獲ってしまうので資源は低位に戻ってしまいました。

・ニシンも、アラスカと北太平洋では資源状態も漁獲量も日本とはアラスカでは数倍(2020年・4万㌧程度)。北大西洋ではノルウェーだけで桁違い(同・50万㌧程度)と、日本(同・1万㌧程度)と漁獲量も資源量も大きく異なります。日本の場合はかつて50万㌧漁獲していた数量が1万㌧程度しかないにも拘わらず、これを資源量で「高位」と呼んでいます。

海水温の上昇に対する矛盾

水産資源管理が機能していないことを海水温の上昇に置き換えてしまうと辻褄が合わない現象が起きます。

イカナゴの資源が激減した理由が海水温だとすると、なぜ青森(陸奥湾)という水温が低い北の漁場で資源が崩壊した後に、伊勢湾、播磨灘、大阪湾、仙台湾、福島といった北と南が入り混じりながらイカナゴがいなくなってしまったのか?

なぜマイワシは寒冷な気候の方が増えやすいといわれている一方で、同じ北海道の道東沖で獲れていたサンマは海水温の上昇で激減しているのか?

サンマは、道東沖の暖水塊が来遊を阻害していると言われています。しかしその沖合の公海上でもサンマ資源が激減している理由は何か?

海水温の上昇は水産資源に影響を与えてしまいます。だからこそ予防的アプローチを行って水産資源をサステナブルにする努力が不可欠です。

ノルウェーを始めその恩恵を享受して漁業や水産業が発展を続ける国もあれば、残念ながら日本のように資源管理が機能していないことを海水温の上昇に責任転嫁して衰退してしまう国もあります。

6/4に水産庁の「不漁問題に関する検討会」の提言が出されました。サンマ・スルメイカ・サケの不漁の原因として温暖化が不漁の原因と明記されています。

どちらが、現在、そして将来にとってよいかはいうまでもありません。

崩壊寸前のイカナゴ漁が、ノルウェーでは絶好調なわけ

(ノルウェー青物漁業協同組合)

日本では崩壊寸前のイカナゴ漁

昨年(2020年)の同時期、イカナゴ(小女子)の水産資源管理に関する問題を発信したところ、1,000を超える「いいね!」と「シェア」がありました。日本では、残念ながら国際的な視点で解説されることがありません。そこで、何らかの参考になるように再度発信しておきます。

播磨灘大阪湾伊勢湾、福島沖、仙台湾陸奥湾とかつてのイカナゴ漁場は次々に獲れなくなり崩壊して来ています。供給量の減少で価格が高騰、残った漁場では一生懸命獲ろうとする強い力が働き、やがてその漁業の魚もいなくなってしまいます。

何年禁漁しても資源が戻らない海域も少なくありません。それだけ資源量が激減しているのです。根絶やしに近い状態まで獲ってしまった資源を回復させるのは至極困難であり、長い年月と厳しい漁獲制限が不可欠となります。

海がきれいになり過ぎた、海水温の上昇、砂利の採取など漁獲量激減に対して、様々な理由が付けられネットで拡散されて変に納得(誤解)されています。しかし、国際的な視点から分析すると本質的な原因がわかります。

イカナゴ 

ところで、海がきれいになり過ぎたからなら、江戸時代や室町時代にイカナゴはいなかったのか?海水温の上昇が原因なら、なぜ北の陸奥湾の資源が、播磨灘・大阪湾などの西の漁場より先に消えてしまったのか?砂利の採取は、激減したここ数年のことなのか?震災で漁獲ができなくなっていた福島では、なぜ再開後にイカナゴが獲れたのか?そしてなぜ今は獲れないのか?

魚が消えていく本当の理由が理解されずに水産資源が減少を続けていることは、実に痛ましいことです。それらの理由が関係ないとは言いませんが、最も大きな力である、漁業という人間の力をあまりにも過少評価していないでしょうか?

その本当の理由とその対策は海外との比較で明確に分かってきます。

今年も絶好調ノルウェーのイカナゴ漁

(hi.no)

日本とノルウェーのイカナゴ漁を比較してみましょう。まず似ているところは、砂に潜る性質から漁場が砂場であること。ノルウェーの場合は、地形上砂場が少なく、イカナゴ漁が行われるのは、上図の紫色の箇所に点在している程度です。漁場という面では、日本の方が恵まれていると言えるでしょう。また、春に漁獲時期を迎えるのも似ています。

さて、次は異なる点です。①昨年(2020年)の漁獲量は日本は1万㌧程度に対し、ノルウェーは25万㌧と大きな差があること。しかし、15年ほど前までは日本の方が多い年もありました②漁獲枠の有無。日本では自主管理です。宮城県がある仙台湾では、昨年・今年と9,700㌧もの漁獲枠が設定されましたが、2年連続で実質ゼロ。事前の調査でもいないことが分かっていても枠はそのままで、機能としてもゼロです。

一方で、ノルウェーでは科学的根拠に基づきTAC(漁獲可能量)が設定され、毎年TAC通りの漁獲になります。かつ上図の漁場で実際に操業できるのは1/4であり、手つかずの漁場が残されて行きます。③日本では食用となる稚魚狙いですが、ノルウェーは成魚狙いで非食用(フィッシュミール向け)です。

(ノルウェー青物漁業協同組合)

上の表は今年(4/29)の水揚げ状況です。8隻で10,180㌧と日本の年間水揚げ量を1日で漁獲しています。2,050㌧、2,400㌧と一回の漁獲で2,000㌧を超えている漁船もいますね。これらの漁船は、サバやニシンも獲る大型船で一網打尽です。しかしながら、資源管理ができているので、このように大量に漁獲しても資源に問題ありません。日本と異なり、資源の持続性に効果がある漁獲枠が設定されているからです。

ノルウェーで海水温は上昇している

ノルウェーバレンツ海の海水温推移(ノルウェー青物漁業協同組合)

上のグラフは、ノルウェー北部バレンツ海の海水温の推移です。ノルウェーでも海水温の上昇は問題になっています。しかしながら、水温の上昇により資源量に悪影響が出ている環境では、その分も考慮されることになるでしょう。実際の資源量は、サバ・ニシン等の青魚、そしてマダラ・カレイ類などの底魚共に、短期的な資源量の増減は別にして、中長期的には横ばい・もしくは増加傾向にあります。

生物多様性とイカナゴ

イカナゴはシシャモなどの小魚と同様に、他魚種の重要なエサにもなっています。資源が減れば、人間が獲り尽くして困るのと同様に、それを捕食していた魚種にとっても深刻な問題となります。

例えば、ノルウェーでのシシャモの漁獲枠設定に際しては、マダラなどの他魚種が食べる分も考慮して漁獲枠が設定されています。また、シシャモやイカナゴ漁に関して、マダラなどの混獲が厳しく管理されています。

日本のように漁獲枠も科学的根拠もほぼなく、資源崩壊が近づくと様々な理由を付けて責任転嫁に走るのとは大きな違いです。言うまでもなく、現状の後者の漁業には未来はありません。

資源調査結果通りのイカナゴ漁

9,700㌧もの漁獲枠が設定されていた仙台湾での事前調査はゼロ(牡鹿半島で2尾)で結果は漁獲ゼロ。

兵庫県での親魚密度調査では昨年(2019年)の5.3尾に対して7.8尾。ただし平年(2009年~2018年の10年間)の132.3尾より大幅に減少しています。漁獲量は147㌧(2020年)⇒1,467㌧(2021年)と調査結果以上に前年10倍のようにも見えますが、実際のところ昭和の時代には2~3万㌧は漁獲されていたので、大したことはなく、資源が回復しているわけではないのです。

資源調査結果は、イカナゴに限らずその傾向をとらえるのに役立っています。しかしながら、実際の漁業管理ができていないことが致命的に問題なのです。

経済面で考える日本の漁業の問題

ノルウェー漁業省のデータを編集 ノルウェークローネ=¥13.3(2021年5月)

資源が減り、資源が減少することでイカナゴの価格は高騰しています。兵庫県を例に取ると今年(2021年)はキロ¥844(1,467㌧)、昨年(2020年)は¥2,578!(147㌧)でした。一方でノルウェーは昨年(2020年)¥48(25万㌧・約120億円)と単価は食用でないこともあり、大幅に安いのですが数量が、桁違いに数量が多いために水揚げ金額は大きく、漁業者は潤っています。

どんなに単価が上がっても資源が無くなってしまい、水揚げ数量がゼロになれば金額もゼロになります。伊勢湾、仙台湾、陸奥湾では今年もイカナゴの水揚げはゼロなので水揚げ金額もゼロでした。

水産資源管理がサステナブルに行われると、単価は下がり消費者にメリットがある一方で、漁業者に取っては単価も数量も安定してするメリットがあります。一方で、その逆は資源も地方も崩壊してしまう恐ろしい現象が起きてしまうのです。果たして我々は、どちらを選択するべきなのでしょうか?

水産資源管理の優等生 ホタテガイ

資源管理の成功例 北海道のホタテガイ

ブログ投稿はこの記事で42回目。おかげさまで「いいね!」「シェア」は累計で4万回を超えました。客観的な事実に基づき、国際的な視点から水産資源管理に関する発信を続けるメディアとして、社会そして世界に役立つことを願っています。

資源量が激減し衰退が止まらない日本の水産業。そんな中で、世界に誇れる数少ない事例があります。それが北海道のホタテガイ漁業です。

資源管理の理屈がわかる 地まきで育てられるホタテガイ

ホタテガイの増養殖は大きく分けて2つあります。一つは、貝に穴を開けて吊るす垂下式。主に北海道の噴火湾や本州で行われている方法。もう一つは主に北海道のオホーツクなどで行われている海区を区切って稚貝をまく、地まきと呼ばれるやり方です。ここでは、後者に焦点を当てて説明します。地まきで育ったホタテガイは、主に貝柱を取る加工に向けられます。

ホタテガイが優等生となる仕組み

日本のホタテガイ水揚量の推移 

今から数十年前、ホタテガイもご多分にもれず乱獲で、枯渇に近い状態になってしまいました。ところが上のグラフを見てください。今では年間漁獲量は40~50万㌧前後で安定しています。

他の水産物と異なるのは、機能する資源管理が行われるようになったからでした。

上の図をご覧ください。ホタテガイの増養殖の仕組みをご説明します。まず使用する海を4つの海区(例)A,B,C,Dに分けます。それぞれの海区を4つの畑と捉えて下さい。

オホーツクでは、収獲までに4年かけます。図では右のD海区に、3年前稚貝がまかれていた前提になっています。2年前にC海区、1年前にB海区、そして今年A海区に稚貝がまかれるという前提です。

4年目になるとD海区にまかれていた稚貝は、立派なホタテガイに成長し、これを収獲します。翌年は同じく順番で4歳になっているC海区で収獲という順番です。もちろんD海区には、水揚げ後に再び稚貝をまいて3年後を待ちます。

ホタテガイを他の漁業に置き換えると分かること

もし、4歳の収獲サイズまで待たず、まいてすぐ獲ってしまったらどうなるでしょうか?4年後を待たず、A海区(1歳)〜C(3歳)海区のホタテを獲ってしまったらどうなるでしょうか?漁獲自体は容易にできてしまいますが、、、。

これこそ、日本の多くの魚種で起こっている成長乱獲なのです。例えば、サバは4歳まで待てば、立派な価値がある成魚に育ちます。

しかし、1歳のローソクサバ、ジャミサバと呼ばれる日本では食用に向かないサバの幼魚まで、容赦なく漁獲されてしまいます。このため、なかなか成長して産卵するチャンスが与えられません。サステナブルなノルウェーのサバ漁では絶対に行われないサバの幼魚の一網打尽。

日本で漁獲される魚は、サバ、マダラ、クロマグロなど、大西洋で漁獲される同じ仲間の魚より、概して小さいことがよくあります。これは偶然ではなく、残念ながら「大きくなる前に獲ってしまうから」という単純な理由がほとんどです。

ホタテガイは4歳まで成長を待てば価値が上がり、大きな貝柱が取れます。ホタテガイは主に春に産卵します。水揚げされる4歳貝は、すでに成貝です。オホーツクの水揚げ時期は、産卵後の主に夏から秋にかけて行われるので、水揚げ時には産卵は終わっており、卵は海の中です。

こうやって、まるで畑から作物を収穫するかのような漁業が行われており、オホーツクのホタテ増養殖業者は高収入を得ています。稚貝を海にまいてから3年、つまり価値があり、資源管理にもよい4歳貝を水揚げし続ける仕組みが出来上がっているからです。

畑の作物との違いは、水も肥料もあげる必要がないことです。ただ稚貝をまく際にはヒトデなどを除去する漁場造成が行われます。

実は、持続的な水産資源管理ができている国々では、それが魚であってもオホーツクのホタテガイのように、海を巨大な養殖場のように利用して、産卵させる親魚をサステナブルな量に保ちながら漁業を続けているケースがほとんどなのです。

北海道のホタテガイはMSC認証

取得が難しいMSC認証

北海道のホタテガイは、サステナブルな漁業の国際認証であるMSC(海洋管理協議会)認証を取得しています。

世界では、サステナビリティに対する関心が年々高まって来ています。そして認証が増えている一方で、その中身が本物かどうか問われてきています。

MSCのような水産エコラベルの目的は、認証数を増やすことではなく、資源を増やしてそれをサステナブルな量を維持しながら、漁業を続けることです。

失敗ばかりが目立つ日本の水産資源管理ですが、ホタテガイのような成功例もあるので、是非見習いたいものです。

東日本大震災と水産業 震災から10年が経過

震災後の10年間に起こったこと

2011年3月11日に起きた東日本大震災。2021年の今年で10年が経過しました。残念ながら、この間に起きた事象を分析すると、どれだけ多くの水産業、そして漁業を復活させる機会を逸してしまったか分かります。

震災後に石巻に造られた巨大な市場

巨大な漁港や市場が出来ても、肝心の魚が少なければ無用の長物と化します。一方で、巨額が使われている設備に対して、漁業先進国と同様に資源管理ができて、魚が持続的に獲り続けられる仕組みがあれば、とても役に立つ設備となります。この違いはとても大きいです。

輸入水産物の日本離れ

すでに震災前から、国内で水揚げされる加工原料の減少は深刻でした。その分を三陸にカラスガレイ、マダラ、アカウオなどの底魚類資源などが北欧や北米などから輸入されて製品化、国内市場に供給されていました。

震災前には、たくさんのカラスガレイが三陸で加工されていた。

そんな時、震災で石巻、女川、気仙沼を始め多く加工場が被災。工場が再稼働を始まるまでの期間、生産は止まっても消費が止まるわけではありません。

そこで、すでに中国やタイなどで原料を北米や北欧から輸入して日本に加工品を輸出する仕組みが加速しました。もともと中国では、一旦輸入した水産物を国内で消費するわけではなく、保税加工して製品を輸出し「加工賃」を主な収入としていたのです。

しかしながら、この間に中国の国内消費が経済成長とともに急速に発展。水産加工場は民営化が進み、自国で輸入し、中国国内と日本を含めた海外市場を比較しながら販売する会社へと変わって行きました。

当初は日本の輸入業者が在庫の資金面も見ていました。しかしながら、中国側の資金が増えて行くことで、日本離れが増えて行きます。

もともと中国の水産加工は、日本人が多くの技術指導者を長期間派遣し、日本に輸出できるまでに品質レベルを上げて今日があります。しかし、時間の経過とともにその認識は薄れ、かつての協力関係は、水産原料を買い付ける際の競争相手と変わって行きます。

しかしこれは、水産物に限ったことではありません。それどころか、形式は異なるにせよ、米国の自動車産業を後発の日本が凌駕した際にも、同じようなことが起きています。

日本の水産業の技術が、中国を始めとするアジアの国々に流出していくのは時代の流れだったのです。

中国を始めとするアジア各国の水産業の変化

人件費が安いという理由で始まった、中国を主体とする海外での水産加工。このため、当初の加工場は、作業用のテーブルと包丁と冷凍機があれば始められるような設備でした。それが、人件費の上昇で機械化が進み出し、海外で加工して日本に輸入するビジネススタイル自体が変わりつつあります。

昔、日本の加工場で、魚の水揚げ量が多かったという理由で水産加工を始めた加工場は、使用する魚が輸入物に切り替わったことで、いつの間にか競争力を失っていたのです。

海外から冷凍魚が東京に輸入されて、三陸の加工場へ輸送。そこで加工して東京などの消費地で販売するのが、国内の水産資源枯渇により始まったビジネスモデルの1つでした。

しかし、海外から直接日本ではなく、一旦中国に向けて、そこで加工して東京、大阪、九州などの各地に製品を再輸出する新しいモデルが進んでいました。中国などで加工するこの形の方が、品質の違いは別としてコスト面では、物流面で有利になってしまいました。

これからさらに、中国に限らず、タイ、ベトナム、インドネシアといった国々も、海外から加工原料を買って自国と輸出市場を両睨みしてバランスを取って販売する業者が増えて行くことでしょう。そして、各国とも輸入原料の買付け競争が激化し、利幅が減少していきます。

そして自国の水産原料が1番競争力があることに気付くのです。歴史が繰り返すのは、日本だけではありません。

震災と水産資源

皮肉なことに震災は水産資源を強制的に、かつ一時的に回復させました。放射性物質の影響で漁獲できない、いわば強制的な海洋保護区ができました。そして対象となる漁業者に補償金が支払われたために、マダラヒラメマサバなどの資源が一時的に回復したのです。

ノルウェーでは資源保護の観点から決して漁獲されないサバの幼魚が、日本では普通に水揚げされてしまう。

しかし、天が与えてくれた復活の機会は、水産資源管理が震災以前と変わらない自主管理や、獲り切れない漁獲枠であったために元の木阿弥になりつつあります。なぜ日本各地からイカナゴが消えていく環境で、福島のイカナゴは震災後一時的に期待されていたのか?なぜ、震災の翌年に34年ぶりにマサバが北海道道東沖に現れたのに、わずか6年でほとんど獲れなくなってしまったのか?

水産資源管理の不備が復活の芽を潰し、それが環境の変化や外国のせいへと責任転嫁されてしまい、日本人の多くはそう信じています。

どうするべきであったのか?

もしも震災後に北欧の資源管理を導入していたらどうなっていたでしょうか?一時的な大漁!は抑制され資源管理で生き延びた親魚はたくさんの卵を産み、そして産まれた幼魚は漁獲されないので、親魚になる機会を与えられます。

震災後、4分の3、8分の7といった補助で水産加工場が再建されました。震災前には手が出なかったフィレーやパッキングの最新の機械が、ドイツなどから次々に輸入されました。

しかしながら、肝心なものが不足。それは「魚の資源管理」でした。三陸で漁獲される魚の資源管理の不足が、加工する魚の不足を招き厳しい状況に拍車をかけているのです。

資源管理において世界で起きている成功例に目を背けてしまったことは余りにも代償は大きかったのです。さらに公海での資源管理ができていないことがサンマ資源の減少を招き、追い討ちをかけています。

一方で、2020年12月に施行された改正漁業法のような変化も起きています。ただし、その法律も水産資源が「国民共有の財産」になっていませんでした。また、資源管理の達成確率が北欧や北米では90-95%に対して、日本では50%以上といったように低く、骨抜きになっている恐れがあります。

震災後10年が経過し、日本の水産業が復活できる機会がありました。しかしその機会の多くは、見逃されて潰してしまいました。崖っぷちの今、その原因と解決方法を国民が理解し、共有することができるのか?

魚が減ったのは、海水温上昇や外国の漁船が獲ってしまうからであり、日本の資源管理は素晴らしいということではないことに気付かなければ、日本の漁業も水産業も、このまま共に崩壊するのです。

迷走するサンマ国際会議  漁獲枠40%削減合意の意味?

細くて価格が高くなったサンマ 魚価が上昇して前年度より水揚金額は上昇。さらに漁獲が減り品質が劣るのに価格が上がれば、消費者離れが起きる恐れがある。

歴史的不漁が止まらないサンマ漁

2021年2/23〜25にかけてサンマを巡る国際会議NPFC( 北太平洋漁業委員会 )が開催されました。深刻なサンマ資源の減少に対し、科学的根拠に基づくTAC(漁獲可能量)と、それを国別に分配する国別TACが設定されるはずでしたが実現せず。

マスコミでは、サンマの漁獲枠を現行の40%削減で合意と報道。ところが、今年度そして来年度も、漁獲量の激減が続く2020年の倍以上(その分のサンマがいれば)獲っても問題ないのです。なので合意内容では資源管理への効果はありません。

激減が続くサンマの漁獲量。2020年は10万㌧を少し超えた程度でさらに減少した。「赤色」が日本の漁獲量。 NPFC

なぜそのようなことが起こるのか?まず初めに資源激減に関わらず、昨年(2020年)合意された全体の漁獲枠は、資源量減少が著しいというデータが出ているにもかかわらず55.6万㌧と獲り切れない巨大枠でした。次に今回(2021年)決まったという削減後の枠は、33.4万㌧。

2020年の実際の漁獲量は10万㌧を少し超えた程度。つまり枠は実際の漁獲量の4倍以上でした。

40%削減の計算根拠は、なぜか2020年でも2019年でもなく、激減前の2018年の44万㌧がベースになっています。これは2020年の水揚げ数量と比較すると3倍以上の数量です。

従って40%削減されても、昨年実績の倍以上の漁獲量を獲っても問題なし。それどころか日本のEEZ(ロシアも含む)に至っては、13.6万㌧!日本の漁獲量は2.9万㌧でしたので、5倍弱。また数字は出ているのに、2019年よりさらに減少した2020年の漁獲量をすぐに公表していないのも謎です。

各国とも、今回の合意内容であれば、実態はこれまで通りの獲り放題。そのサンマ資源が激減していることが共通している大問題なのですが、、、。

しかも有効期限は2年。今年さらに資源状態が悪くなっていたとしても、来年もそのままということになってしまいます。そして獲れなくなってから禁漁という最悪の自体に陥らねばよいのですが、、。(例)日本のイカナゴ、ハタハタなど。

サンマの資源量は危機的な水準を通り越している

サンマの資源は激減が続いている だから漁獲量が減少  NPFC

上のグラフは、資源調査に基づくサンマの資源量推移を表しています。これに、実際の漁獲量の推移を合わせると、傾向がほぼ一致していることが分かります。少なくても激減傾向は一目瞭然ですね。

SDGs(持続可能な開発目標)14.4で掲げられているMSY(最大持続可能量)が維持できる資源管理からは遠く離れており、水産資源管理が進んでいる北欧などでの水準からすれば、残念ながらすでに禁漁する水準ではないでしょうか?

北欧のシシャモのように禁漁しても復活する資源管理と異なり、公海を含めたTACに基づく管理が行われておらず、その間に中国、台湾と漁船を次々に建造されて、サンマ資源をあてにされてしまったことは、日本にとって最悪の結果です。

サンマ資源が10年ほど前までは持っていた理由

サバ、スケトウダラ を始め日本の資源が激減していく中で、サンマの減少速度は、中長期的に見ると比較的緩やかでした。これは、棒受けという光で集めてすくいとる漁法であったために、漁獲圧が低かったからです。日本は大中巻き網船によるサンマ漁を禁止しています。これはとても良い制度でした。

一網打尽となる大型巻き網(サバ)や、大型トロール船(スケトウダラ )で、サンマ漁を行なっていたら、2000年以前に資源量は激減していたことでしょう。

もっとも、大型巻き網や大型トロールが悪いのではありません。これらの漁法で大型船が操業しているノルウェー、米国、ロシアでの資源量は潤沢でサステナブルです。その違いは資源管理の違いなのです。

サンマ漁に新規参入した中国船、そして台湾船も漁法は同じ棒受け漁。日本をまねただけでしょうが、これらの国々、特に新しい中国船がサバ漁同様に、棒受け以外の漁法(巻き網、トロール)でサンマ漁を始めるとさらに枯渇に拍車がかかってしまう恐れがあります。

歴史は語る スケトウダラ の公海漁業の禁止

日本で漁獲されたスケトウダラ

乱獲に対し、公海の資源管理が断行された例があります。皮肉にもそれは、日本漁船が深く関係していたスケトウダラ漁でした。今日、米国とロシアの漁業は、スケトウダラの資源がサステナブルだから発展して来たといっても過言ではありません。

水産教育・研究機構

上図の緑の部分に、公海のスケトウダラの漁場が囲みで示されています。当時の日本漁船は、1977年の200海里漁業専管水域の設定で、アラスカ沖から排除され、新たな漁場が必要でした。そこで発見されたのがこの漁場(通称・ドーナッツホール)です。

新漁場には、200海里で締め出された日本漁船を主体に韓国、ポーランドなどの漁船が集結しました。しかし下の表で分かる通り、わずか5〜6年で資源は枯渇。

水産教育・研究機構

1994年以降は漁獲停止で合意しています。公海漁場は、米国やロシアのスケトウダラの漁場と近く、漁獲停止は公海漁場の近隣である、主に米国側の資源の持続性に良い影響を与えていると考えられます。

ちょうど、日本の海域からはみ出ているマサバマイワシの資源(またがり資源)を漁獲している中国船などの操業を止めさせたようなものです。

有利な取り決めが役に立つ機会は訪れるのか?

NPFC( 北太平洋漁業委員会 )で、日本に取って有利な取り決めがあります。それは、国連公海漁業協定上、EEZ内に漁場を持つことが幸いし、EEZ内の配分比率を全漁獲枠の4割とできていることです(若干漁獲しているロシア分含む)。

日本の漁獲比率は、2020年度の2割程度まで減少。最初の棒グラフで示された赤い部分は、かつて8割が日本の漁獲でした。これを考えれば遅すぎですが、それでも2割と4割の配分では大きな違いとも言えます。

しかしながら、この4割の配分維持には避けて通れない2つの関門があります。①このまま獲り続けて2年間も資源が持つのか?資源が無くなれば公海でのスケトウダラ漁の停止同様に配分に意味がなくなる。②真剣に枠を減らす配分の議論をする場合、もっとも実際の漁獲量と乖離している日本のザル枠と配分比率を各国が認めてくれるのか?

崖っぷちの魚種だらけの日本。その中でも日本人の理解と事実の乖離がもっとも大きい魚種の一つがサンマかも知れません。

復活! アイスランドシシャモの資源

復活したアイスランドのカラフトシシャモ資源 

95%の確率が求められる漁業

2019年から禁漁していたアイスランドシシャモ(カラフトシシャモ・以降シシャモ)の資源が予想通り復活し解禁となりました。これから2~3月が漁獲シーズン。資源調査の結果2/7時点でのTAC(漁獲可能量)は12.7万㌧ですが、今後の追加調査でまだ枠が増える可能性もあります。

2020年時点で算出された2021年の枠は17万㌧であったので、ほぼ近い数量となっています。アイスランド・ノルウェーといった国々では、その資源量が95%という高い確率で、取り決めた資源量になるというルールにしています。産卵親魚の資源量各15万㌧・20万㌧残すというものです。

つまり、前者のアイスランドで言えば、漁獲されたり、マダラなどの他の魚種に食べられたリする量を除いて15万㌧の親魚が産卵できるように計算されているのです。それができなければ解禁しないということです。しかも要求される達成の確率は95%。

日本で2020年12月に施行された改正漁業法は、ようやくSDGs14(海の豊かさを守ろう)でも採択されているMSY(最大持続生産量)に基づく設定を始めましたが、その確率は50%以上といった目標数字が見かけられます。資源管理の達成の目標を95%としている国々との差、および将来への影響がどうなるか考える必要があります。資源量が多い国が甘いなら別かも知れませんが、その逆ですので。

明るい北欧シシャモ漁の未来

アイスランドでは2021年の漁が2月に始まったばかりですが、すでに先のことが分かっています。2022年のTAC(漁獲可能量)は40万㌧と算出されており、大幅な増加が予想されています。

一方のノルウェーでも、資源は急回復。未成魚の資源量は2014年以来の100万㌧超えとなっており、2022年にはその一部が成魚となるため解禁される可能性があります。ノルウェーにしてもアイスランド同様に資源管理がしっかりしているため、一時的に禁漁となっても「確実」に資源量が回復して解禁され、たくさんの水揚げが復活し、それらが日本の食卓に上ります。

ノルウェーのシシャモ漁は2019年以降禁漁のままですが、アイスランドの解禁はノルウェーにも恩恵を与えます。なぜなら上記の12.7万㌧(今後増枠の可能性)の内、ノルウェーに4.2万㌧もお裾分けが行くからです。

これは、ノルウェーがアイスランドの資源を利用する一方で、アイスランドもノルウェーの資源を相互に利用するからです。水産資源管理の成功は、自国だけでなく、近隣国にも恩恵を与えるまさにウィンウィンの仕組みですね。

これは資源量が激減し、各国で逆のことが起きてしまっているサンマスルメイカなどの管理に参考になる例ではないでしょうか?

シシャモの漁場と距離

シシャモの漁場 青はシシャモ 赤はニシン (ノルウェー青物 漁業共同組合から編集)

上の図の赤い矢印で示した青色の点を見て下さい。アイスランド沖で、ノルウェー漁船がシシャモを漁獲したと報告している場所です。ここからノルウェーに戻って水揚げすると3日かかります。サンマの漁場が遠くなり日本に水揚げするまで3日かかったというのと、日数ではほぼ同じ。ちなみにノルウェーの面積は約38.5万㎡で日本(37.8万㎡)と同じです。

上図のノルウェー漁船は、基本的に魚を自国に持ち帰って鮮魚のまま水揚げします。しかしアイスランドは目の前で1日で水揚げできます。アイスランドでは、当然ノルウェーより多くの数量を自国漁船が漁獲して水揚げします。ノルウェー漁船をノルウェーに呼び込むためにはアイスランドでの水揚げ価格より高い価格を漁船に提示する必要があります。

シシャモの買い付けに最も高い価格を提示するのは日本。ノルウェーは2021年度も、シシャモ漁は禁漁です。しかしアイスランド沖で漁獲されたシシャモがノルウェー産として日本に輸出されるので、アイスランド産と共に2019年からの禁漁でほぼ残っていなかったところに供給されることになるのです。

シシャモの価格

おなじみ子持ちカラフトシシャモ 

あまり気付かないかも知れませんが、シシャモ(カラフトシシャモ・子持ちシシャモ)の末端価格は上昇しています。2010年~2019年の末端価格の平均が100gで159円なのに対し、2020年(7月まで)は同203円と約3割上昇しています。1パック100円均一での販売といった安価での売り出しは減ったはずです。

日本のシシャモ

国産のシシャモ 漁獲量は激減 価格高騰 

一方で日本のシシャモ漁。北海道での2020年の漁獲量は約300㌧と、記録が残る30年余りで最低。その原因はとなると「海水温の上昇などの海洋環境の変化が影響しているとみられる。」そうで、不漁の原因を詳しく分析するそうです。ところで、資源評価もTACもないままで良いのでしょうか?このスピード感で間に合うのか?

北欧のカラフトシシャモと種類は違うといっても、売り場ではシシャモとして並びます。しかし、供給があまりにも少ないために価格が高くなり、高級品となってきています。すでにシシャモといえば、供給量が圧倒的に多いカラフトシシャモが日本の市場を席巻。

ところで、その資源管理の方法は全然違います。日本の場合はシシャモにTAC(漁獲可能量)さえありません。毎年期待するのは大漁かもしれませんが、資源が減れば大漁どころか獲れなくなるのが現実です。いなくなってからの禁漁では遅いのです。

アイスランドでもノルウェーでも日本と同様に海水温が上昇する問題はあります。しかし、生物の多様性や環境の変化も加味した上で、厳格に管理しています。その違いで資源量と持続性(サステナビリティ)の差はどんどん開いてしまっているのです。

今年の漁はどうだろうか?大漁祈願!などという時代遅れの漁業は、アイスランドやノルウェーにはないのです。

ノルウェーのマダラはなぜ大きいのか?

大西洋マダラの幼魚 日本も大きくなるまで漁獲せず幼魚を見るのは水族館だけでよいのでは?

欧州でマダラは食材の王様

ノルウェーの市場で売られるマダラ 小さいのはいない 

サバ、サーモンなどと並びノルウェーの主要魚種であるマダラ(大西洋マダラ)。漁獲量は、2019年で33万トンとサバ16万トンの約2倍。水揚げ金額は約900億円でサバの約300億円の3倍です。

日本でマダラというと下の写真のような鍋の具材などが思い浮かびますね。

北海道で水揚げされたマダラ

一方でノルウェーのマダラは、英国でフィッシュアンドチップス(写真下)での原料として、バカラオという干した塩ダラにして、ブラジル、スペイン、イタリア、ポルトガルなどへも輸出されています。またフィレにして各種の料理用に。

英国の定番 フィッシュアンドチップス

欧州でのマダラは、食材として魚の王様といって良い存在なのです。

小さなマダラは獲らないから大きくなる

マダラは最長で40歳、体長2メートル、60kgにもなる大型魚です(NSC)。

ノルウェーでは、漁獲サイズに制限があります。最低でも体長40cm(北緯62度以北は44cm)以下の漁獲は禁止(漁業省)。

日本では水産資源管理制度の不備で容赦なく漁獲されてしまうマダラの幼魚 これではなかなか大きくなれない

日本では残念ながら10cm前後のマダラの幼魚まで底引き網などで漁獲されているのが現実です。このため、大きくなる前に獲られてしまい、なかなか成長できず、卵も産めないという悪循環が続いています。

三陸では、一時的に東日本大震災で漁が制限されて資源が急増しましたが、2020年には元の低位に逆戻り。その主因は、海水温の上昇でも、他国の影響でもなく、幼魚まで獲れてしまう資源管理制度の不備。同じ間違いの繰り返し。しかし、時計の針は元に戻せず。

一方ノルウェーではサイズ制限もさることながら、TAC(漁獲可能量)が漁船の大きさや、漁船ごとに厳格に決められています。

下の表はオークションに使う2021年1月の最低魚価です。丸のまま(round)のサイズは、9kg以上、3.7-9kg、1.5-3.7g、1.5kg以下という4分類。

サイズが大きいほど価格が高く、漁業者は漁獲できる数量が、実際に獲れる量より大きく制限されています。このため、限られた漁獲枠でできるだけ価値が高い大きな魚を獲ろうとするのです。

ですから、小さな魚は避けようとする強い意思が働きます。もし、自分がノルウェーの漁業者だったらと考えたら容易にイメージできると思います。

(ノルウェー底魚類 漁業協同組合) NOK=¥12.24(2021年1月24日)

生物多様性を重視するノルウェー漁業

大きなマダラが毎年たくさん漁獲される理由は他にもあります。それは、生物多様性を重視し、マダラのエサの資源管理も厳格に行っているからです。

マダラの代表的なエサの一つが、シシャモ(カラフトシシャモ)。ノルウェーのマダラよりもはるかになじみが深いシシャモは、2019年から禁漁が続いています。

すでにシシャモの資源状態はかなり回復してきており、2022年以降の解禁待ちです。ところが漁獲枠を決める際に、マダラなどが食べる量も考慮されるために、なかなか解禁されません。シシャモの禁漁中に、漁獲されたマダラの胃袋の中にシシャモが一杯な状態であってもダメ。

シシャモをエサとする魚などが食べる量が、人間が漁獲する量より優先されているのです。

シシャモ漁が解禁されても、漁獲する際にマダラが混獲されているとその海域は禁漁になることがあります。日本ではマダラにもシシャモにも漁獲枠がありません。対照的に狙っていない魚がたまたま獲れたらボーナスになるだけでしょう。混獲による個々の資源への影響が考慮される体制ではないのです。

しかしながら、ノルウェーのように資源管理がしっかりしている国では、混獲は厳しく管理されています。だからマダラを始め様々な魚が大きく育ち、サステナブルなのです。

水産資源管理の違いによる資源量の違い

上の表をご覧ください。同じ大西洋のノルウェーとEUでは資源状態に大きな差があります。両国ともTAC(漁獲可能量)と漁船や漁業者ごとに漁獲枠を分ける個別割当制度を適用しています。

ノルウェー北部のバレンツ海はマダラの最大の漁場 (NSC)

一見似たように見えますが、大きな違いがあります。ノルウェーは1987年からマダラの海上投棄を禁止。一方でEUではようやく2019年からの禁止となりました。それまではEUは小型のマダラを海上投棄。これが資源量に悪影響を与える一因となってしまっていたのです。

下の最初のグラフは、EUが主漁場としている北海での漁獲量推移で、水色のdiscardは投棄された量です。次のグラフは、1987年にマダラの小型魚の海上投棄を禁じたノルウェーが主漁場としているバレンツ海の漁獲量推移のグラフです。(上のグラフは1,000㌧単位、下は100万㌧単位です。)

EUを主体とする北海での漁獲量推移 単位1,000㌧(ICES)  
ノルウェーとロシアを主体とするバレンツ海での漁獲量推移。単位100万㌧。 (ICES)

海上投棄が認められていれば、漁獲枠が決まっているため、価値の低い小さな魚を海上投棄して大きな魚を持ち帰る。これでは「成長乱獲」を起こしてしまいます。

一方で日本の場合は、マダラに漁獲枠さえないので、小さくても何でもできるだけたくさん獲ろうとしてしまいます。海上投棄はもちろん悪いですが、資源の持続性を考えると、EUより漁獲枠がないためにさらによくないのです。日本のマダラの漁獲量は約5万(2019年)です。本当はもっと資源も漁獲量も増やして行けるのですが、、、。

ノルウェーのように、小さなマダラは獲らない仕組みを作り、本来であればマダラのエサとなる小魚の資源量なども考慮して、科学的根拠に基づく数量管理をしていくべきではないでしょうか?

マダラの幼魚は、サステナブルな漁業にするために、獲ってしまうのではなく水族館で見られる程度にしたいものです。